H23年 1意思表示 2停止条件

【 問 1 】  意思表示
A所有の甲土地につき、AとBとの間で売買契約が締結された場合における次の記述
のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1.Bは、甲土地は将来地価が高騰すると勝手に思い込んで売買契約を締結したところ
 実際には高騰しなかった場合動機の錯誤を理由に本件売買契約を取消す事ができる。
 
2.Bは、第三者であるCから甲土地がリゾート開発される地域内になるとだまされて売買
 契約を締結した場合、AがCによる詐欺の事実を知っていたとしても、Bは本件売買契約
 を詐欺を理由に取り消すことはできない。
 
3.AがBにだまされたとして詐欺を理由にAB間の売買契約を取り消した後、Bが甲土地を
 Aに返還せずにDに転売してDが所有権移転登記を備えても、AはDから甲土地を取戻す
 ことができる
 
4.BがEに甲土地を転売した後に、AがBの強迫を理由にAB間の売買契約を取り消した
 場合には、EがBによる強迫につき知らなかったときであっても、AはEから甲土地を取
 り戻すことができる。
【 解 説 】
1.× 表意者の重大な過失は無効主張できません。
 なのでBが勝手に思いこんで(動機)錯誤したんだからBが悪い。
 これを認めたらなんでも無効主張できるようになっちゃいます。
 
2.× Cが知っていたら取り消せる。
 CはAに「それは詐欺だぞっ!」って教えてやるのが人情だろうってことです。
 
3.× 第三者との対抗要件はとにかく登記。
 みなさんが不動産をあれこれするときはすぐに登記しましょう。
 
4.○ 強迫でよくあるパターン。 基本なのでわかって当たり前です。
【 感 想 】
基本中の基本
 
 
【 問 2 】 停止条件
Aは、自己所有の甲不動産を3か月以内に、1,500万円以上で第三者に売却でき、その
代金全額を受領することを停止条件として、Bとの間で B所有の乙不動産を 2,000万円
で購入する売買契約を締結した。条件成就に関する特段の定めはしなかった。
この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1.乙不動産が値上がりしたために、Aに乙不動産を契約どおり売却したくなくなったBが
、甲不動産の売却を故意に妨げたときは、Aは停止条件が成就したものとみなして Bに
 AB間の売買契約の履行を求めることができる。 
 
2.停止条件付法律行為は停止条件が成就した時から効力が生ずるだけで、停止条件
 の成否が未定である間は、相続することはできない。
 
3.停止条件の成否が未定である間に、Bが乙不動産を第三者に売却し移転登記を行い
、Aに対する売主としての債務を履行不能とした場合でも、停止条件が成就する前の時
 点の行為であれば、BはAに対し損害賠償責任を負わない。
 
4.停止条件が成就しなかった場合で、かつそのことにつきAの責に帰すべき事由がない
 ときでも、AはBに対し売買契約に基づき買主としての債務不履行責任を負う。
【 解 説 】
1.○ その通り。
 故意に妨げられたんだから、成就とみなしていいでしょう。
 邪魔してくるような悪い奴を保護する必要なんてナシ。
 
2.× 停止条件だって権利なので現在は未成就でも、相続できます。
 
3.× 「停止条件が早く成就しないかな~!」ってウキウキワクワクしているAの期待を
 踏みにじるようなことをしたらいけません。
 『期待権を侵害される』なんて言いますが、条件の成否が未定の間、その契約から
 生ずべき相手方利益を害することはできないんです。 ってことで、Aの利益を害した
 Bは損害賠償責任を負います。
 
4.× Aの責に帰すべき事由がないなら債務不履行責任を追求させろとまでは言えま
 せん。 自分のせいじゃないけど条件が成就しませんでしたって時は、素直に謝って
 くれたら、それでいいってことなんでしょう。
【 感 想 】
簡単。 停止条件のまとめとして良い復習になる問題です。
全肢重要なのでちゃんと覚えておきましょう。